Research
植物と、それを脅かす病原体(糸状菌・細菌・ウイルスなど)の間で繰り広げられる「分子レベルの攻防」を解明し、持続可能な未来の農業技術を創出することを目指しています。病原体がいかにして植物の免疫をハイジャックするのか、その巧みなメカニズムを解き明かすとともに、その仕組みを逆に利用した新しい産業技術の開発に挑んでいます。分子生物学・植物保護の最先端手法を基礎から学びながら、一緒に研究に取り組みましょう!
当研究室の強み・独自技術
- 多様な植物病原微生物(糸状菌・細菌・ウイルス等)の取扱い技術
- 植物・土壌圏におけるマイクロバイオーム(微生物叢)の網羅的・高精度解析
- 病原体エフェクターと植物因子の高精度なタンパク質間相互作用解析
- 圃場・生産現場で活用できる超高感度・網羅的な植物病原体検出システム
- 発光レポーター技術を用いた感染・免疫応答のリアルタイム遺伝子発現モニタリング
1. 糸状菌(Fungi)
植物・糸状菌相互作用の解明と持続可能な防除戦略の構築
糸状菌(カビ)による病害は植物病害の約8割を占め、世界の食料生産に甚大な被害を与えています。特に近年の化学農薬に対する耐性菌の出現・拡大は、防除を困難にする深刻な課題です。糸状菌の感染戦略や薬剤耐性獲得の分子メカニズムを、分子・生態学的な両面から解析します。これにより、環境負荷を低減しつつ長期間効果を維持できる次世代の防除体系の構築を目指します。
2. 細菌・ファイトプラズマ(Bacteria & Phytoplasma)
エフェクターによる宿主操作メカニズムの解明
ファイトプラズマなどの植物病原細菌は、宿主の発生プロセスを劇的に攪乱し、植物の免疫応答を抑制したり、植物の形態異常を引き起こします。その一端を担うのは、これら細菌が分泌するエフェクターと呼ばれるタンパク質群です。病原体エフェクターが植物の遺伝子ネットワークを撹乱する仕組みを解明し、感染を根本から制御する技術の礎を築きます。モデル植物(シロイヌナズナ・タバコ等)を活用した基礎研究により感染プロセスの解析を進め、安定生産の実現に貢献します。
3. ウイルス(Viruses)
植物ウイルスの感染・移行メカニズム解析と防除技術の開発
植物ウイルスは媒介昆虫などを経由して広範囲に蔓延し、一度感染すると治癒が非常に困難なため農業生産に大きな影響を及ぼします。ウイルスが植物体内で複製・全身移行する分子機構や、宿主の免疫応答との攻防を解明します。これらの基礎研究を通じて、持続可能な抗ウイルス戦略や伝播遮断技術の確立を目指します。
4. 抵抗性誘導剤
植物免疫の活性化による環境調和型病害防除の構築
抵抗性誘導剤は、植物が本来持つ免疫システムを刺激・活性化させることで病害に対する抵抗性を高める資材です。病原菌に直接作用しないため薬剤耐性菌が出現しにくく、環境負荷を低減する持続可能な病害制御法として注目されています。誘導剤によって引き起こされるシグナル伝達や遺伝子応答のメカニズムを解析し、実用的な環境調和型防除体系の構築を目指します。